私の中には 誰か居る。


その誰かは、いつも私に 大丈夫だと言った。

酷い事を言われれば、それは 君の事じゃ無いと言い

痛い事をされれば、身代わりになってくれた。


大丈夫、心配しないで

側に居るから

君を護るよ

何も悪い事なんて してないんだ

君が好きだよ

こわくない、こわくない

イイ子だね


君に鍵をかけてあげる

僕以外のモノが 君に触れられない様に

大事に仕舞ってあげる

もう何も君を犯す事無く、これ以上傷付かない様に

信じて、泣かないで

もう何も考えなくて良いんだ




僕の中には 誰か居る。


その誰かは、いつも泣いて 消えそうだった。

だから僕は、閉じ込めた。

しっかりと鍵をかけ、その鍵は闇の中へ。

全てを そのまま受け入れてしまう君だから

たくさんのモノに裏切られ、傷付いて。

だから、助けてあげる。

悪いもの全部から、君を護ってあげる。

逃げられない君を、僕が逃がしてあげる。


そうして僕は、駆け出した。

この小さな箱から、外の世界へ。

大丈夫、僕が全部引き受けるよ。

後ろは振り返らない。

だってもう、戻る必要は無いんだ。



気が付けば 私は、高いビルの上に居た。

下を覗けば 行きかう車とネオンサインがキラキラして。

無機質なそれも、ここからは宝石の様に見えた。



僕の中の誰かが望むなら、踏み出すその一歩が 君を自由にする。



私の中の誰かが 私をここへ連れて来たのは、最後の意思を確認したかったからだ。



君に勇気を。



大丈夫?


大丈夫、離れないよ。

世界が君を敵に回しても、僕だけは君の味方。



ありがとう、優しいあなた。



手を放して 身を委ねれば

風を切り、滑らかに引き込まれ

着地した時に 放たれた赤は

その場所の何よりも 美しかった。



そうして私は、この街の宝石になる。




 070907 (揺るぎ無い、永遠の自由を君に。)



 +ゼラニウム:花言葉は、「慰め」「愛情」「決意」「君ありて幸福」