「大丈夫だよ」

彼は言った

目の前で赤く染まった少年は、小さな手に刃を持って

「大丈夫」

寝そべったまま 動かない君は、にっこり微笑んだ

「痛くないよ」

掠れた声は 闇に溶けて

ねぇ、左手は 何処で失くしたの?

「笑って?」

先を知るのは 君か 私か

「大丈夫」


君の その一言が、私の足を引きとめる 



 (070815 君の言う大丈夫は、いつだって大丈夫じゃないんだ。)