*トランキライザー に出て来る登場人物と同じです。
 書きやすい二人なので、また書こうと思います。シリーズ化するかは未定。。




「ねぇ。女が弱みを見せるのは、何か企んでいる時か、同情を買いたい時だけなのよ」


食事を終えた後、自家製の梅酒を 割りもせず一気に飲み干した彼女は、突然そう言った。

ソファーに足を投げ出して座っているその人は、たまに難しい事を言う。


どうしたの、また何かあったの?

良い事なんて一つも無いと いつも言うけれど、

オレは、そんな事無いと思う。


空になったグラスを受け取ると、瓶に入った梅酒を注いで手渡した。


「女って、そんなものよ。男に主導権を握らせた振りをして 実は裏で糸を引いて操って」


うん。


「女の行動には、常に裏がある」


うん。


「分かる?」


少しね。

利用する側と される側

オレは一体どっちだろう、なんて。

そんなの分かり切った事だ。

でも一つ、他のヤツらと違うのは オレは、それを知って 敢えて選んだという事。


「キミは そんな女に掴まっちゃあ駄目よ?私以外にね。
 あぁ…違うか。もしかしたら、私が利用されているのかも」


衣食住、全部 私が提供してるものね。

そう言うと、またグラスに口を付けた。


違うよ、オレは アナタを利用して何かいない。

頼っているし、依存もしているけれど、それは利用とは違うでしょう?

アナタが 要らない と言えば、オレはすぐに居なくなるよ。

ずっと一緒に居られる何て 思っていない

だから、その時まで。

アナタの目が、オレから逸らされたなら それでおしまい。


「そうだ。この梅酒、少し甘過ぎない?」


あぁ、少し 氷砂糖を入れ過ぎたかもしれない。

アナタの口に合う様に、アルコール度数の高い焼酎を入れたり、色々調節したつもりだったのだけれど…


「来年は、もう少し辛口で。」


差し出されたグラスを受け取って、オレは 思わずにっこり微笑んだ。

少なくとも、来年のこの季節までは、側に置いてくれるみたいだ。







  (070826 明日きっと、アナタは大量の梅酒造りの本に埋もれたオレを発見するのです)


  +エクスピレーション・デート(expiration date): 有効期限。(医学用語)