「約束をしたんだ。」


君は、憶えていますか。


あの日、交わした約束を。


「でもね、どうしても 何を約束したのか思い出せなくて」


風化した大切な記憶は、綺麗な思い出へと変わり


「とても大切だったんだ。どうしてだろう、ごめんね。もう声も思い出せないんだ。」


君の声も、姿も、失った時の悲しみも、時が徐々に持ち去って


「可笑しいね。忘れたく無いのに、消えてしまう」


思い出の中の君を 必死に手繰り寄せても、掴もうとした瞬間にすり抜けてしまう


あぁ、そうか。


「この約束は」


君との最後の


「絆なんだ」


大切なのは きっと、何を約束したのかではなく


君と約束をした ということで


「ねぇ、僕は 君との約束を果たせましたか?」


君の企みは、もしかすると 今ここで、果たされたのかもしれない


こんなに長い年月が経ったのに、君のことを考え、悩むことが出来るなんて


薄れゆく思い出と、君を忘れようとする僕を


君は笑って、許してくれますか。




 (070815 そうして君は、僕を強くする。)


 +アスター: 多年草。花言葉は、「追憶」「結果論」「信ずる恋」「あなたを信じているが、心配」